ホルムズ海峡「通行料徴収」に米中が拒絶

統制を失った革命防衛隊、泥沼化する中東の海路
世界経済の生命線であるホルムズ海峡を巡り、国際社会がかつてない緊張に包まれている。米国務省報道官は12日、ルビオ国務長官と中国の王毅外相が電話会談を行い、「いかなる国や組織もホルムズ海峡での通航料徴収は許されない」との認識で一致したことを明らかにした。
米中という二大国が異例の足並みを揃えた背景には、イランによる通航料徴収が既成事実化すれば、世界の主要海峡すべてに同様の混乱が波及しかねないという深刻な危機感がある。
制御不能な「体」政府と軍の乖離
事態を複雑にしているのは、イラン国内の深刻な統制不全だ。イランのペゼシュキアン大統領やアラグチ外相は、国際社会との摩擦を避けるべく事態の沈静化を模索しているとされる。しかし、その意向に反するように、精鋭部隊「革命防衛隊」の暴走が止まらない。
先日、革命防衛隊が中国のタンカーを襲撃した事案は、その象徴といえる。支援国家であるはずの中国船を標的にした事実は、現在のイラン政府が軍部を制御できていない可能性を強く示唆している。
「蛇の頭」を失った組織の末路
背景には、イスラエルおよび米国連合軍による幹部暗殺の「副作用」がある。連合軍は革命防衛隊の幹部を次々と排除することに成功したが、結果として組織は「頭」を失い、制御を失った「体」が盲目的に暴れる事態を招いた。
さらに、最高指導者ハメネイ師の後継者とされるモジダバ氏が、攻撃を受け重体の状態が続いているとの情報も絶えない。組織を束ねる強力なリーダーが不在の中、停戦中であるにもかかわらず戦禍が止まない現状は、まさに蛇の頭を潰したがゆえに、その死に物狂いの動きを止められない皮肉な構図となっている。
誤算だった「トランプ短期決戦」のシナリオ
連合軍側には、ベネズエラ情勢のような電撃的な政権瓦解や短期決戦を期待する向きもあったかもしれない。しかし、共産勢力の体制とは異なり、宗教的信念を柱とするイスラム戦士たちは一筋縄ではいかない。
物理的な破壊だけでは制圧できない思想のネットワークが、かえって事態を泥沼化させている。外交ルートでの米中合意という「外圧」が、果たして統制を失ったイラン内部の武闘派にどこまで通用するのか。ホルムズ海峡の「自由航行」を取り戻すための道筋は、依然として暗雲に包まれている。
欧州ジャーナリスト連盟(European Federation of Journalists)
会員No.JP465 N J269写真家 日本外国特派員協会メンバー
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取材 国際ジャーナリスト 樽谷大助d.tarutani0120@gmail.com取材アシスタントKANAME YAGIHASHI取材アシスタント HINATA TARUTANI 取材アシスタントTATIANA IVANOVNA

